認知症とは

 認知症とは物忘れにより日常生活や社会生活に支障をきたす状態をいいます。認知症の症状には、中核症状と周辺症状があります。記憶障害、見当識障害、判断力の障害などを中核症状といい、徘徊、暴言・暴力行為、幻覚、妄想、せん妄などを周辺症状といいます。

 

認知症の頻度

 認知症は近年増加の一途をたどっています。最近の疫学調査から、認知症は65歳以上の10人に1人の頻度でみられ、「ありふれた疾患」と位置づけられています。以前、わが国では血管性認知症が多かったのですが、現在はアルツハイマー型認知症のほうが頻度が多くなってきています。

 

アルツハイマー型認知症の臨床的特徴

 アルツハイマー型認知症の特徴は、①もの忘れで発症し、②楽観的な雰囲気(あまり深刻な雰囲気がない)、③ゆっくりと症状が進行する、④局所神経徴候を欠く、などです。

 

認知症の薬物療法

 アルツハイマー型認知症の治療戦略として大切なことは早期診断、早期治療です。より早期の段階で治療を開始すれば、より長期に改善を期待することができます。2010年10月に「認知症疾患治療ガイドライン2010」が発行されました。本ガイドラインで推奨グレードAとして示されている薬剤には以下の4種類があります。

①ドネペジル(商品名:アリセプト)

②ガランタミン(商品名:レミニール)

③リバスチグミン(商品名:リバスタッチパッチ、イクセロ

 ンパッチ)

④メマンチン(商品名:メマリー)

 

 

※上記は「これでわかる認知症治療 改訂第2版 浦上克哉 著 南江堂」から抜粋記載しています。