腰椎椎間板ヘルニアとは

 腰椎(腰の骨)は5つの骨で構成されており、頸椎と同様、腰椎と腰椎との間に椎間板という柔らかいクッションがあります。このおかげで私たちは腰を前後屈したり、捻ったりと自由に動かすことができるわけです。加齢とともに椎間板が変性し、後方に突出して神経根を圧迫すると腰痛、下肢痛が出現します。さらに進むと筋力低下、歩行障害が出現し、排尿排便障害も出てくる場合があります。腰椎椎間板ヘルニアは自然に吸収消失し、痛みが取れてくる場合も比較的多くみられるため、症状が腰痛と下肢痛のみであればまずは保存的治療により経過をみますが、下肢の筋力低下や排尿排便障害などの症状が出現してくるとなかなか改善しにくいため手術が必要です。

左図はL4/5レベルの大きな腰椎椎間板ヘルニア症例のMRIで、上が縦に、下が水平に切った断面を見ています。赤い矢印で示したのが椎間板ヘルニアで、後方に突出し、神経根(白い脳脊髄液の中に黒く筋状、または点に見えるもの)を強く後方に圧迫しているのがわかります。この例では腰痛、下肢痛に加え、筋力低下から歩行障害が出現してきていたため手術によるヘルニアの摘出術を行いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                 術前

 

 左図は上の症例の術後のMRIです。術前みられた椎間板ヘルニア(赤矢印)は摘出され、神経根への圧迫も消失しています。術前みられた腰痛、下肢痛、歩行障害は術後消失しました。腰痛、下肢痛のみであれば保存的治療も可能ですが、この症例のように筋力低下が出現してきている場合はできるだけ早期の手術が必要となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                            

                            術後